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2009年01月12日

『貧困のない世界を創る 』

ソーシャル・ビジネスとはなにかと、ノーベル平和賞受賞のムハマド・ユヌス総裁によるグラミン銀行の活動が書かれている。いくつか気に留めたフレーズを抜粋。
これはビジネスなので、ビジネスパーソンにとっては単にソーシャルビジネスという商売の機会であるだけでなく、社会問題を解決するために自身のビジネススキルと創造性を発揮する機会であることに気づくだろう。投資家は資金を取り戻すだけではなく、会社の所有者としてその後の行動について決めることができる。
新たに大学やビジネススクールを出たばかりの若い人々は、若者特有の理想主義と、世界を変える機会を持てる興奮に動機づけられて、伝統的なPMBよりもむしろソーシャル・ビジネスを起こすことを選ぶかもしれない。※PMB...利益の最大化を目指すビジネス
アルバート・アインシュタインの「すべてのことをできるだけ単純にすべきだが、必要以上に単純かすべきではない」という言葉を引用しよう。主流派の経済学ではあらゆることが「単純すぎる」ようになっており、そのため現実を逸してしまうのだ。
バングラディッシュに対する日本のODAの方法だ。日本の支援機関は、チッタゴン空港を建設するためにローンを提供した。その資金は、日本の設備を購入し、主に日本人のエンジニアと工事会社を雇うために使われた。つま、その資金の大部分を日本経済に還流させるのである。しばらくして、これまでどおりの成文化されていない手続きによって、日本は静かにそのローンを中止し、交付金扱いに変える。その結果、バングラディッシュは近代的な空港をただで手に入れられる。この場合、空港の所有権はバングラディッシュの政府に残されるだろう。
エマニュエルは(中略)友人たちと、社会的目標を持つ企業に融資するという難問について意見を交わしていた。これらのファンドマネジャーの多くが、エマニュエルが抱いている現代の資本主義に対する違和感を共有していた。世界の情勢からみて、彼らは新しい形のビジネスの必要が増加していることを感じていた。利益を最大化することだけに集中するよりもむしろ、社会的要求に応じてより良い仕事をするビジネスが必要なのだ、と。
私たちは達成したいと思うことを達成するのです。私たちが何かを達成していないのは、そこに心を置いていないからです。私たちは、自らが欲しいと願うものを想像するのです。
日本のODAのエピソードは、こんなふうにして提供されているのだと知らなかったのでちょっと驚いた。
会社員として働いていてときどき不思議に思うのが、会社は大きくなるのを止めることができないのか、ということ。このくらいの利益でいいや、これ以上はいらない、っていうふうにはならないんだろうか。以前読んだウィキノミクスには毎年、5%から7%というゆるやかな成長を続ける必要がありますって書いてあった。教えて、経営者の読者様。
Amazon:『貧困のない世界を創る 』

投稿者 chiaki : 2009年01月12日 22:02

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