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2007年03月01日
『叶えられた祈り』
エドワード・ホッパーの『ナイトホークス』が表紙だったら絶対買っちゃう。『冷血』は読んだことない。
3つの章からなる遺作だそうです。「ラ・コート・バスク」にユダヤ人の変わった青年、サリンジャーが出てくる以外は「まだ汚れていない怪獣」しか読みどころがわからなかった。
「まだ汚れていない怪獣」のなかで印象に残っているのは、コレットのクリスタルガラスのペーパーウェートの話と、ポルノ写真を拾っている男のエピソードと、盲目の老マッサージ師の話。
私は目が見えないうえに、こんどは脚が悪くなった、六十歳の老人だ。家もないし、行くところもない。見捨てないでくれ』。そうしたなんといったと思う。『行くところがないんならガスの栓をひねればいいわ』だと。これが最後っ屁だった。退院するとき手元には十四ドル七十八セントしかなかった。それでもできるだけ遠くに行きたかった。それでヒッチハイクしながらニューヨークに向かった。ヘレンのことは、どこにいようが、前より幸福になって欲しいと思っているよ。ひどい目にはあったが、恨んでなんかいない。脚が悪くて、目の見えない老人がヒッチハイクしながらアメリカ大陸を横断するのは並大抵のことではなかった」わたしが知りたいのはその先だ。自分のことをひどい人間だとか、ろくでなしだとかいうひとが罪の意識をどうやって抱えて生きていくのか。
無力な老人が、知らない道の脇で暗闇のなか車を待っている。デニー・フーツも同じように心細い思いをしたに違いない。ヘレンがボブにしたと同じ心ない仕打ちを私は彼にしたのだ。
でもこの未完の小説にはそんなことは書かれていなかった。
投稿者 chiaki : 2007年03月01日 22:23
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