2005年05月05日
大原美術館
私立美術館というもの自体が初めてかもしれない。こんな美術館があることは、今回の旅の下調べをしているときまで知らなかった。そして、期待以上のすごい美術館だった。
本館のエル・グレコやピカソ、モディリアーニ、モネはもちろんだけど、建物がすばらしかった。窓の枠や、階段の手すり、建物と建物を結ぶ廊下のステンドグラスなど。
その中でわたしが一番気に入ったのは工芸館の建物そのものだ。
一階の入り口には木れんがが敷き詰められている。これは栗の木でできているそうで、場所によって組み合わせ方が違っている。歩くとカラカラと音のする場所もある。
河井寛治郎の作品の部屋は朝鮮式の床(名前を聞いたけど忘れてしまった)で、柱と同じ間隔に太い一本の木があって、その間を60センチ×35センチくらいの板を敷いてある。歩くとキュウキュウと音がする。京都の河合寛治郎の旧居も同じような床がある、と学芸員の方が教えてくれた。縄で編んだベンチに座って、誰もいない涼しくて薄暗い蔵の部屋で陶磁器を見るのは、その価値はよくわからないけど、静かでいい気持ちだった。
棟方志功の部屋にはひょうたんを横にしたような窓がついていた。蔵にもともとついていたものなのか、あとからつけたものなのかはわからない。イランからインド、中国へかけての石仏のコレクションの部屋は大きめのタイルの床でひんやりしている。
帰ってきてからホームページをみると、工芸館の前にあった睡蓮はモネの庭からやってきたものらしい。
入館券は当日中ならば何度でも再入館できるので、しばらく外へ出てからまた入って、本館の資料室で美術館の歴史の本を読んだ。
最初は、クラボウで大儲けした金持ちの道楽の美術館だろう、でもいいお金の使い方だなぁ、なんて思っていたら大原孫三郎という人は美術館だけでなく、病院や学校も作った人らしい。伝記のようなものも出版されているようなので、ぜひ読んでみようと思う。
ミュージアムショップでは、柳宗理の食器などが置いてあった。いままではオシャレさんたち御用達のアレ、というふうにしか思っていなかったけど、ちょっと考えが変わった。愛媛でイームズも見ておけばよかったな。
大原美術館ホームページ http://www.ohara.or.jp/
2006年2月5日追記
河井寛次郎記念館に行きました。静かな感動でした。
投稿者 chiaki : 2005年05月05日 16:00
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コメント
岡山、特に倉敷は思い出のある土地なので敏感に反応してしまいます。
大原美術館、わたしも工芸館が一番好きなのです。
あの床材がガクガク浮いた感じ、記事を読んで思い出してしまいました。
大原翁は今で言う企業メセナの走り、今日本で唯一やっていると個人的に思っているのは同郷のベネッセさんですかね。
愛媛のイームズ展は、ドイツのヴィトラ・デザイン・ミュージアムとアメリカ議会図書館が合同企画したもので業界的には評判良いみたいですよ。
投稿者 kawa-uso : 2005年05月08日 23:16
大原美術館の喫茶室、エルグレコは入れなかったのですか?
投稿者 kawa-uso : 2005年05月08日 23:17
>今日本で唯一やっていると個人的に思っているのは同郷のベネッセさんですかね。
わたしたちの新卒時の就職先でベネッセは人気だったと思いますが、こういうのも理由だったんですね。倉敷に住んでいてクラボウ社員だったら自慢だろうな、と思いました。
エルグレコはだいぶ込んでいたようで、今回は諦めましたが、でも倉敷はぜひまた行きたいです。